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労務

1. 労務関連の法規

労務に関連する主な法律は以下の通りです。

  • Companies Ordinance(会社条例)
  • Disability Discrimination Ordinance(障害者差別条例)
  • Employees' Compensation Ordinance(労災補償条例)
  • Employment Ordinance(雇用条例)
  • Mandatory Provident Fund Schemes Ordinance(強制積立金スキーム条例)
  • Sex Discrimination Ordinance(性差別条例)

2. 雇用条例

香港の労務に関する基本法にあたるのが雇用条例です。

2.1.雇用条例の対象

雇用条例は全ての労働者に対して、賃金の支払い・控除に関する制限・法定休日の供与等に関する基本的な保護を与えるとともに、継続的な雇用契約(Continuous contract of employment)を交わした労働者に対しては、年次有給休暇・疾病休暇・退職給付金等に関する追加的な保護も保障します。

継続的な雇用契約(Continuous contract of employment)とは、同一の雇用主のもとで継続的に4週間以上、かつ毎週18時間以上勤務するとき、継続的な雇用契約による雇用がなされているとみなされます。

2.2.雇用契約

雇用契約とは、雇用主と従業員との間で取り交わされた雇用条件に関する合意を指します。この合意は口頭であっても書面であっても有効であり、またその条件については、明示的なもの、暗黙的なもの、いずれをも含みます。雇用条件については、雇用主と従業員の間では自由に折衝を行い、合意することができますが、雇用条例が定めた労働者の権利や利益・保護を打ち消したり、削ったりするような雇用条件は例え双方の合意があっても一切無効となります。

雇用の開始にあたり、雇用主は従業員に対して下記の雇用条件を明示する必要があります。

  • 賃金(基本賃率、超過勤務の賃率、手当等)
  • 賃金の支給期間
  • 契約終了の場合の事前通知期間
  • 年末給付(ダブルペイ)を実施する場合は、その内容
いったん合意された雇用条件が変更される場合は、雇用主は明瞭な方法で、それを従業員側に通知する必要があり、従業員側から要求があった場合は書面で提示しなければなりません。

特に明示的に規定されない限り、継続的な雇用契約の期間は1ヶ月とし、毎月更新されるものとします。

全ての雇用主は従業員の給与や雇用に関する記録を最低12ヶ月間保存する必要があり、従業員の退職後も6ヶ月間は保管する必要があります。このような記録に該当するものとして、下記のものがあります。

  1. 従業員の氏名・IDカード番号
  2. 雇用開始日
  3. 役職
  4. 各支給期間ごとに支払われた給与
  5. 支給期間
  6. 各支給期間ごとの労働時間
  7. 支給および取得された年次有給休暇・疾病休暇・産休の日数
  8. 退職給付金の支給額
  9. 雇用契約の終了に必要な事前通知期間
  10. 雇用終了日

雇用主が適切な記録の保管を怠った場合にはHK$10,000の過料が科されます。また、従業員側からの申立てにより雇用条例への違反が発覚した場合、労働局による訴追が行われ、有罪となった場合には罰金HK$100,000および禁固1年の刑が科される可能性があります。

2.3.賃金

賃金は、その支給対象期間の最後の日から7日以内に支払われなければなりません。賃金がその期間を超えて支払われる場合には利息を支払う必要があります。なお、雇用主が故意に、かつ正当な理由なく、賃金の支払いを怠った場合には、最高35万香港ドルの罰金と3年の禁固刑が科される可能性があります。また、同じく利息の支払いを怠った場合にも、最高10,000香港ドルの罰金が科される可能性があります。

2.4.休暇

継続的な雇用契約の元で雇用された従業員は12ヶ月ごとに年次有給休暇を取得する権利を得ます。雇用期間の長さに応じて、初年度(および2年目)の7日間から3年目以降、1日ずつ増えていき、最長14日間までの取得が認められます。(ただし、この日数の規定は雇用条例が定める最低限のものであり、各社が従業員に対してそれ以上の有給休暇を付与することは全く問題ありません。)

雇用年数 有給休暇日数
1 7
2 7
3 8
4 9
5 10
6 11
7 12
8 13
9年以上 14

従業員は有給休暇を付与された日から12ヶ月以内に消化しなければなりません。また、有給休暇は連続して取得することが望まれますが、従業員が望めば、少なくとも連続する7日間を休暇として取得し、残りを分割消化に回すことができます。雇用主が正当な理由なく、有給休暇の付与や当該休暇分の給与の支給を怠った場合には、最高50,000香港ドルの罰金が科される可能性があります。

付与された有給休暇を未消化のまま、雇用契約が終了する場合、雇用主は退職する従業員に有給休暇手当を支払う必要があります。この計算方法は下記の通りとなります。

雇用期間 有給休暇日数
12ヶ月未満 3ヶ月未満 不適用
3~12ヶ月 即時解雇 不適用
辞職
即時解雇以外の解雇
12ヶ月以上 現有給年度に入ってから3ヶ月未満 未消化の有給休暇日数
現有給年度に入ってから
3~12ヶ月
即時解雇 未消化の有給休暇日数
辞職
即時解雇以外の解雇

香港の休日には雇用条例で定められている休日(法定休日)と公衆休暇条例で定められている休日(公衆休暇)の2種類があります。

  General Holidays Ordinance Employment Ordinance
全ての日曜日
新暦正月
旧暦正月一日
旧暦正月二日
旧暦正月三日
清明節
耶蘇受難節
耶蘇受難節翌日
復活節翌日
労働節
佛誕
端午節
香港特別行政区成立記念日
中秋節翌日
国慶節
重陽節
冬至
(雇用主の裁量でいずれかを休日とする)
クリスマス
クリスマス翌日

表の通り、両条例で定められる休日には重なっているものも多いですが、それぞれの条例で定められる休日の扱いには雇用法規上、区別がつけられます。

雇用条例で定められている祝日については、雇用条例の下で雇用される全ての労働者に対して付与されるもので、もし仮にこれらの法定休日に勤務した被雇用者に対しては、休日の買上げ(=Holiday Payの支給)はできず、必ず代替休暇を取得させなければなりません。 一方、公衆休暇条例(のみ)で定められている休日については、少なくとも雇用条例下では、雇用主に休暇を与える義務があるわけではありません。

 

2.5.傷病手当

傷病手当とは、(1)連続4日以上の傷病休暇が取得され、(2)医師からの適切な証明書が提出され、さらに(3)従業員が十分な累積有給傷病休暇の残日数を残している場合に、傷病休暇1日あたり、基準日から遡る12ヶ月間の平均賃金日額の5分の4が支払われるというものです。

有給傷病休暇は雇用開始から最初の12ヶ月は毎月2日、これ以降は毎月4日ずつ、最大120日まで蓄積されます。

2.6.母性保護

従業員の希望により、出産予定日の2~4週間前から連続10週間の出産休暇が付与されます。また、妊娠・出産時の病気・障害等の理由でさらに最長4週間の追加休暇を取得することもできます。

出産休暇開始時点で40週間以上の継続的雇用がなされている場合、出産休暇1日あたり、出産休暇開始日から遡る6ヶ月間の平均賃金日額の5分の4が支払われます。

また、妊娠中の従業員から仕事内容が過重・危険・有害である等の申し立てがあった場合には、雇用者は14日以内に仕事の配置転換などの適切な処置を執る必要があります。

2.7.年末給付

ここで言う年末給付とは、いわゆるダブルペイと呼ばれているような雇用契約書の中で固定額の支給を約束した報酬を指し、業績に連動する賞与や雇用主の裁量によって支給額が決まる報酬とは一線を画するものです。

年末給付の対象となるのは、継続的な雇用契約の下で全支給対象期間に渡って雇用された従業員です。支給対象期間が雇用契約書に明記されていない場合は、旧暦の年度をその対象期間とします。

支給額は雇用契約書に明記されるものとし、もし雇用契約書上に特段の記載がない場合、その金額は支給対象となる12ヶ月間の平均給与とします。

継続的な雇用契約の下で当該支給期間のうち3ヶ月以上雇用され、かつ、その従業員が

  • 支給対象期間終了後も継続して雇用される、あるいは
  • 雇用主から解雇される(従業員自身の重大な過失による即時解雇の場合を除く)

場合、所定の金額が按分して支払われます。

支給対象期間に試用期間(最大3ヶ月)が含まれる場合、この期間は按分の対象から除くことができますが、この期間を除いた後、対象期間が3ヶ月以上となる場合は、試用期間を支給対象期間に含めなければなりません。

支給の時期は、

  • 雇用契約書に明記されている場合はその日付
  • 雇用契約書に明記されていない場合は、支給対象期間の最終日、もしくはその日から7日以内
  • 支給対象期間終了前に雇用契約が終了し、かつその従業員が年末給付の按分支給を受ける権利を有する場合は、当該雇用契約の終了日、もしくはその日から7日以内
  • 年末給付の金額が雇用主の利得に連動して決まる場合、その利得の確定日、もしくはその日から7日以内
雇用主が故意に、かつ正当な理由なく、年末給付の支払いを怠った場合には、最高5万香港ドルの過料が科される可能性があります。

2.8.雇用契約の終了

雇用契約は、雇用主または従業員のいずれか一方が他方に然るべき通知を行うか、通知を伴う給与の支払いを行った後に終了させることができる。継続的な雇用契約の場合、通知の期間、あるいは通知を伴う給与の金額は下記の表の通りとなる。

雇用期間 通知期間 通知に伴う支払額
試用期間中 試用期間の最初の1ヶ月目 不要 不要
試用期間の最初の1ヶ月経過後 通知期間に関する合意がある場合 合意に基づく
(ただし、7日以上であること)
表2参照
通知期間に関する合意がない場合 7日以上 表2参照
試用期間無し/試用期間終了後 通知期間に関する合意がある場合 合意に基づく
(ただし、7日以上であること)
表2参照
通知期間に関する合意がない場合 1ヶ月以上 表2参照

通知期間が
日または週の場合

通知日から遡る12ヶ月間の平均日給 通知期間のうち、賃金の支給対象となる日数 通知に伴う支払額
通知期間が
月単位の場合
通知日から遡る12ヶ月間の平均月給 通知期間の月数 通知に伴う支払額

通知、あるいは通知を伴う給与の支払いを行わずに雇用契約の終了を行う場合

 

2.9.解雇手当・永年勤続手当

資格 解雇手当 永年勤続手当
適格となる雇用期間 24ヶ月以上の継続的雇用契約 5年以上の継続的雇用契約
要件等
  • 従業員が余剰人員整理の名目で解雇された
  • 有期雇用契約が失効したが、余剰人員整理の名目で更新されなかった
  • 従業員がレイオフされた
  • 従業員が解雇されたが、
    (1)重大なミスによる懲戒解雇ではなく、また(2)解雇理由が余剰人員整理でもない
  • 有期雇用契約が失効し、更新されなかった
  • 従業員が死亡した
  • 従業員が健康上の理由で辞職した
  • 従業員が65歳以上で、高齢のため退職した

ここで余剰人員整理による解雇とは次のような場合を指します。

  • 雇用主が事業を終了した、あるいは終了しようとしている場合
  • 雇用主が従業員が雇用されている場所での事業を終了した、あるいは終了しようとしている場合
  • 従業員たちがある特定の仕事を遂行する、あるいは従業員が雇用されている場所である特定の仕事を遂行する事業の要件が終止・消滅した(あるいはそのことが予想される)場合

支給額の計算方法(解雇手当・永年勤続手当共通)

月給制の従業員の場合
(直近月の給与 2/3)(*) 勤続年数
日給制または歩合制の従業員の場合
直近30日間から従業員が選んだ任意の18日間の賃金(*) 勤続年数    

(*)ただし、その金額は15,000香港ドルを超えないものとします。

なお、従業員は解雇手当と永年勤続手当の両方を同時に受給する権利はありません。

3. ビザ等

香港の居留権(Right of adobe)を持たない者が香港に居住するためには、入境事務処(Immigration Department)より条件付き逗留許可を受ける必要があります。

なお、香港で居住を続けて、Immigration Ordinance(Cap. 115)の 附表1の第2条に定義された「永久性居民(Permanent Resident)」の資格を満たした場合、 いわゆるパーマネントIDカードを取得することができるようになります。

永久性居民ならびにパーマネントIDカードについては、別頁に記載しています。